昔々、実家の裏庭に小さな紅葉の木がありました。もう直ぐ秋かなぁ、そんなある日の朝、紅葉の木の枝に絡まる白い物を見つけました。少し太めのロープ。そんな感じに見えたのですが、違うことは直ぐに解りました。動いたんです。風に吹かれて何かが揺れた。そんな動きじゃないんです。枝に巻き付きながら木を登って行ったのです。
父は、仕事で外出中。母は、洗濯中。どこか、桃太郎に似た展開ですが事実なのでご了承下さい。
母を呼びに行きましたが、既に洗濯が終わって物干しに向かってしまったようで、そこに母はいませんでした。階段を駆け上がり、急いで物干しに向かいました。母を見つけ、裏庭の白蛇のことを話ました。物干しから、裏庭の紅葉の木を見下ろしましたが、白蛇が居た辺りの枝までは見えませんでした。
慌てて母の手を取って、階段を降りて裏庭に戻りました。でも、そこに白蛇の姿はありませんでした。木の上の方も、木の下も庭を隈なく捜したのですが見当りませんでした。夢、それとも幻だったのでしょうか…
その日の夕方、暗くなる前に父が帰宅しました。早速、白蛇のことを父に話すと裏庭なんて隠れる場所は無いだろうと、裏庭を再び捜してくれました。
すると、木の上から蛇の抜け殻が見つかりました。母もやっと信じてくれたようです。でも、肝心の白蛇の姿はやはり何処にもありませんでした。父も不思議がっていました。本当に狭い庭で、たとえ蛇といえども身を隠す場所は無いはずなのに…
翌日、祖母にその話をしたら「蛇は神さんの使いなんや、そっとしておきや」と言われました。その日以来、白蛇の姿は見ていませんが、きっと何処かに居て家族を守ってくれているんだと想います…
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